先日、複合型の施設を展開している法人から依頼があり、内部研修を行った。前回、権利擁護研修を行った際、研修企画者側、参加者とも権利擁護のイメージが広くあり、概要を2時間で説明することに難しさを感じていた。あわせて権利擁護は後見制度の事だけ指すわけではなく、また、高齢者の施設研修だからといって、高齢者だけの権利の視点のみ伝えることには、不足と感じていた。本人を取り巻く環境についても理解的に対応できるようにするには、児童のことも、障害者やDVのことも知って、全体を見る力、気づく力が研修により養われればとの想いがあった。
これは、私自身が虐待対応や後見人としてわらでもつかみたい想いとなっているとき、純粋に同じ視点や心持で支援に参加してくれた方があり、もっと同様の人材が地域でふえたら、小さくても幸せが広がるのではと考えたことにつながっているのだと思う。
今回は、短時間の知識詰込み型ではなく、視点に火をともす研修にしようと考え、後見制度、虐待は同一ではなく区別されるものと説明し、量を減らし、権利とそれを擁護する「やさしさの視点、関わり」についてをメインとした研修デザインになった。
身近な権利、そして人としての成長や欲求、それを基盤とした信念や物語が意思決定の重要な基盤となっていることに時間をかけた研修の流れとなった。利用者も支援者自身も同じ人としての地続きな存在であり、同じような自分の中にある成長の歯車に動かされ、選択や実行の良否などで悩んだり、達成感をもって人生を歩んでいることを扱った。
時間に追われても、同じ関われる時間でも適切で質の良い対話により、本当のニーズを掘り当て、それを実行できるようにし、チームをそのニーズで縛って協働できたとき、困難な中にある本人は、初めて行動を起こせるものと考えている。その感情や発達、物語を扱う関わりを「やさしさの関わり」とした。やさしさの関わりを基盤としている施設では違和感のある行動、つまり不適切な行為はすぐに目立ってしまう。
また、スタッフ自身もそれに巻き込まれ、職場からやさしさの関わりを受けることにより内観が働き、自身の成長も意識した関わりを持てるようになる。結果仕事への愛着、満足につながり、仕事にもっとコミットし成長への階段が上がれるものと説明させて頂いた。介護の仕事は、仕事の質と介護士自身の心的成長が密接であるため分けて考えるべきではないと今回の研修をつくるうえで改めて感じた。
今後もご要請があれば、その職場の課題にあわせ、法定研修の企画実施等をオーダーメイドで行っていきたいと考えています。ご要望があればお気軽にメールBOX等へ連絡ください。