スーパービジョンの評価と問診票

認定社会福祉士制度上のスーパービジョン(SV)では、今くらいの頃は、1年の評価を行うバイジーが訪れます。年6回のSVと事前面談、そして今回の評価の面談と実際には8回バイジーとお会いするわけですが、認定に提出する一連の書類が一年分整ったとの安堵感と一年やり通したとの達成感が言葉には無くても伝わって来ます。

この評価は、1号様式というソーシャルワーカーとしての実践でやれていること、やれていないことのスケーリングとその具体的状況を記載するシートの変化を見ていくものですが、当初は訳が分からないとの1号様式でも、毎回のSVの中でどこを扱ったのか確認する作業により、評価時にはなじみのシートになっているという状況です。そのため、事後評価は書けている様子があり、スケーリングのレベルが下がったとしても、なぜ下がったかの説明をうまく書いて頂くなど、自分のためのシートとして使える方が増えたとの印象です。

わたしは、様式を丁寧に使い、そこになぜそうなのかとの考えや思いも入れてもらうことにしています。それによりジレンマやなぜやれていないのかのカギが共有できるとの視点を持ち、SVで扱っています。併せて、バイジーがしっかりできるようになればすぐにバイザーに成れるとの考えを持ち、バイジーにはのちのちにバイザーに成るように関わって、同様の視点ももってもらえるように対話しています。

規定の様式の他に、わたしはスーパービジョン問診票というシートをつかっています。これは、SVがバイザーのものであったり、バイジーにとって有益ではない内容となることを予防するため、なにより、ほかで語ることが無い専門職としての想いを丁寧に扱うために設けています。シートはなりたいSW像や嫌なSW像といった当初の想いを記述してもらう項目と、業務外での不安など背景を捉える項目、今日の疲労度や今日のSVの満足度というスケーリングとなぜがとの詳細欄から成ります。

当初は、書きなれない内容に戸惑われる様子もありますが、想いのままに書かれ、その開示された内容について深い想いを共有します。SWは機械でも道具でもありません。その個人の価値観とSWとしての価値観を併せ持つことでの悩みや支障を抱えて実践しています。SVはカウンセリングではありませんが、1号による柱を維持しながら、行動の源となる想いを取り上げなければ、有益なSVにはならないとの実感をもっています。

問診票に書かれた、SVの満足度とその理由など、バイザーへの通信簿を丁寧に拝見しながら、これからも続いていくSVに向かっていきたいと思っています。

認定社会福祉士スーパーバイザー登録更新

早いもので、東京で社会人学生として学びながら認定社会福祉士を取得し、その翌年から手探りで開始したスーパーバイザーも有効期間が満了し、登録更新となった。スーパービジョンをスーパービジョン論としてみた場合には、それはまさに実学と言え、技術と知識を活用する専門職の生きるための総合力を問うものである。実際のSVでは、クライエントの存在をいつも傍らに置き、いかに良質な支援を行うか、そうなるための姿勢とはどんなものか、専門職として生きる個人としての感情や背景への対処はどうあるべきかなど、社会福祉士が社会福祉士であり続けるための問いを協働で行っている。「時間が無いから」、「学びより実践あるのみ」とSVをさける人がいる。初年度のSVは手順を飲みこむために、またバイザーとの関係を意識しすぎるなど夢中であることが多いと思われるが、その段階を超えると、本当に自分のためにある特別な時間の意義を深く実感でき、共に決めた目標を達成するためにどのように時間を進めて行くか、視界が徐々に開けていく感覚を味わうことができると思う。またSVを行うことにより苦手で自分には関係ないと多くのひとが考えがちのSW理論の実用もさまざま取り組めている。ぜひとも、最初は首をかしげながらでもSVに足を踏み入れ、資格のアイデンティティとはどんなことかなど、そこでしかできない対話を味わって欲しいと思う。

スーパービジョン講師(東京社会福祉士会)

本日は、基礎研修Ⅲの講師で東京に伺いました。担当コマは、スーパービジョンです。認定社会福祉士制度開始から、手探りで行って来たスーパービジョンについて、私なりの手法、視点についてお話しました。東京社会福祉士会のスーパーバイザー養成システムの構築に参加させて頂き、講師となってから3年となります。バイジーの視点がしっかり持てれば、バイザーもできる。認定SVは戻るところを様式で担保し、具体的に成長部分を2人で見つけ取り扱っていく。忙しい中で、そこでしか話せない専門職としての研鑽の場の必要性、効果を多くの人と共有できればとの想いで研修外でも活動しています。

スーパービジョン単体での効果について因果関係を証明することはなかなか難しいですが、良い対話、良い拘束を2人でもてた時、SV後の自己効力感、目標に向かってのパースが広がり実務に向かう力、視点の変化を実感できると私自身の体験では言い切ることができます。

東京ではバイジー希望者に対して、バイザーは圧倒的に少ない状況のなか、確実にSVが行え、満足度や専門職のレジリエンス等心理的アプローチについても配慮できるバイザーが確実に育成されて来ている思います。事務局によるフィッティング制度も重要な部分で機能していると感じています。

人の行動(心理)が扱え、理論を実務に自然に取り込んで評価まで行えるように私のSVでは注力しています。一方でSVを受けてよかったと思われる、健康心理的、産業カウンセリング的視点、専門職の一致についても取り扱っております。

東京の会員の熱量を仙台に持ち帰り、さらに効果的なSVをバイジーと検討していきたいと考えています。

SV希望されるかたはお気軽にメールをください。認定社会福祉士を目指さないかたでもお受けしています。