この度、主任介護支援専門員研修の新たなテーマとして、スーパービジョンの講義を自治開催の研修で行った。県内では、当事務所が認定社会福祉士向けのスーパービジョンを最初に行ったこともあり、その実践をお知らせできる機会を得てとても喜んで講義の準備をすすめた。
しかし、準備を進めるにつれ、常々疑問に思ってそのまま置いておいたことが、やはり問題として、行く先をふさぐ形となった。
スーパービジョンを行う上で重要なものとして、フレーム作りと秘密保持など安全な環境が必要となる。今回のスーパービジョン研修が導入研修なのか、スーパービジョンを教養として学び、いつかのために備えるのかどちらなのだろうとの壁である。
私としては、スーパービジョンで得るものが大きいとの経験を重ねてきたので、ここはぜひ学びながら、実際に行う基盤をどのように作っていくか言及し、その圏域で実際に推し進めて行けたらとの想いが強くあった。
今回の受講生は社会福祉士ではなく、主任介護支援専門員である。どこまで初学者が理解可能かと実際の研修資料を圏域の社会福祉士や行政担当者が確認しながらの準備となった。
介護支援専門員は、関係する領域の様々な基礎資格者が取得する資格であり、そのための共通的基盤は、どうしても基礎資格にひっぱられ、明確なアイデンティティを打ち出すことに難しさがある。どうしても事例を扱う専門職として、事例があれば解こうとする訓練に慣れ、何をする職種か、自分はその資格でどのようにしたいのかとの考える場がなくひたすら実践という姿が介護支援専門員であろう。
そのため、メタな部分を扱おうとする取り組みには抵抗感や研修の成功イメージを作ることに時間がかかるのではとの懸念が研修担当者にはあった。
フレームについての理解が研修担当者で進むにつれ、守られた自由な場をどのように作るのか、事業所をまたいだ場合の秘密保持や実際の契約はどのようになっていくのか、SV関係や契約などがどこにも示されていないなかで、大きな課題として共有することとなった。
実際の研修では、フレームの課題があることを伝えつつ、行う場面や行った場合の効果、実際にどのような技術をSVの場でも使うのかなどワークを加えながら研修し、土惑いながらも、一定の理解を得ることができたと評価している。
特定事業所加算の会議や事例検討の場など、まさにこれらはSVのスキルを使う場面である。虐待対応専門職チームが動く場面についてもSVそのものである。
SVは、単に合意形成で済ませられない場で効果的に事例に対応し、その専門職を成長させようとの仕組みがある。
今回の自治体研修は、先駆的な取り組みとして称賛して終わることができた。この称賛を専門職として生きる人をつなぐ共通のバイアスとして、地域でのSVが展開されていくことを願っているし、今後も協力していきたいと考えている。
分からないと投げ出さずに真剣に参加して頂いた受講生に感謝し、称賛致します。