写真療法の効用とSW的活用の視点

福祉まつり「ウエルフェア2018」(障害者週間記念式典)に参加した。今回は一般参加ではなく、被後見人(以下、本人という)の補助としての同行である。私が研鑽の一つとして行っている写真療法の番外編として、本人が撮影した写真を障害者の写真コンテストに応募したところ、ビギナーズラックもあったのかうれしいことに入賞したため、表彰式に参加となった。

今まで、カメラを触ったことなど無かった本人ではあったが、知的な課題等があっても、物おじしない性格が後押しして、お世話になっているケアワーカーさんを「お世話になっている人」という視点で撮影し、温かみのある写真が撮れた。

言葉の引き出しが少なかったり、話そうとしても発声までの過程でなかなか会話まで上がってこなかったりするかた数人に、写真療法の知見を活用して、言語化や想いの共有をすることで、支援の手がかりやほかの場面でのコミュニケーションや行動の広がりを期待して行ってきた。何を撮ったのか、なぜ気になったのかなど、撮影後の対話がとても重要で、驚きが度々ある楽しい時間でもある。写真には投影性があり、無意識下で自分を重ね合わせた被写体を撮るという部分については、分析的な視点は深めず、本人がどうとらえているか、湧き上がってくる言葉を拾い、それを様々な生活場面で、よい方向に促進させるのが私の立ち位置である。

開始当初は、写真の技術を高めようとしたり、義務的に撮らせようとしたりと、口うるさくなる家族や援助者にしっかり対応したり、補助的に好き嫌いシートを作成して、無理に嫌いな被写体(場所など)選ばないで済むことも検討した。

本来、グループワークで行われる写真療法を、本人たちと私の時間制約や撮りたいものの都合から、必要なエッセンスを加えたり、削除したりしながら続けてきたため、手順を厳格に守って行っている先駆者や治療目的の療法家には、注意を受けるかもしれないが、自主性、回避性という基盤となることへの配慮だけはしっかり心に止めて行ってきた。

そんなこんなで、応募した方みなが受賞となった。タイトルも本人が支援者と相談して決めたもの、撮影意図も撮影後の対話、フィードバックから拾い上げたものを代筆して提出した。

正直なところ、受賞後の対応は具体的には考えていなかったため、支援者や施設で、ちょっとしたうれしい騒ぎとなった。レクの時間を使い、展示会場まで作品を実際に見に行ってくれたり、表彰のためのおめかしをどのようにしようか話し合ったりして準備された。おひとりは、在宅酸素を始めたばかりであったので、ボンベの手配などもあった。

写真撮影が今回のうれしいばたばたや、ちょっと大変だったがお祝い膳も外食できてたことにつながり、自分の撮ったもの、その気持ちが周囲に影響を与える力があることに、本人たちは、ほんのり気づかれたようである。撮れた写真を評価的に扱わないという部分に、今後の関わりに課題は残ったが、写真のミクロからマクロ面までひっぱる力を私自身感じ取れた、楽しい年末の思い出となった。

私の支援方針は理論や療法を援助計画に導入するなど、ミクロ面に注力することで、エグゾ、マクロへの効果を考えていくことである。写真療法もその一つで、今後は個別支援に留まらず、写真療法家協会の実施手順を維持した療法に注力し、小グループでの実施も考えている。ボランティアなど一緒に行ってみたいかた、導入したい施設があればご連絡を頂ければ嬉しい限りです。

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